特殊技術研修会の報告と参加者からの声
研修会開催の経過と報告
平成22年度の特殊技術研修会は、例年通り、独立行政法人国民生活センター内の研修施設において、10月6日~8日の2泊3日のスケジュールで実施しました。
研修会の課題としては、食品検査における遺伝子学的検査法(病原菌、ウイルス)、迅速・簡便法(生菌数、大腸菌、大腸菌群、黄色ブドウ球菌)に係わる、講義と実技実習としました。参加者は、青森県から沖縄県にいたる44機関(47人)の検査実務担当者が参加しました。
研修会の講師は、国立医薬品食品衛生研究所の五十君静信先生、野田 衛先生及び静岡県環境衛生科学研究所の杉山寛治先生にお願いし、最新の話題として、微生物試験法の標準化と国際整合性、食品媒介ウイルスに関する話題並びに病原菌検査における遺伝子学的手法の導入に関する講義をして頂きました。
研修会の開催に当たっては、微生物作業部会の委員長を始め、各執行委員が中心となり、各メーカーの担当者との交渉、PCRや簡易試験の機器やキットの借用等の対応、講義や実技指導のスケジュールの立案、実技指導も含め、細部にわたるまで準備、対応をして頂きました。
特殊技術研修会は、従来から、国民生活センターの研修施設を利用させて頂いており、ご厚意により、実験施設並びに機器・器具類の使用や借用に際しては、特段の配慮とご尽力を頂いて実施しております。また今回は、実習に使用できるPCRや簡易検査機器台数の確保、高価なキットと試薬の使用等に関しては、メーカーの方々の多大な協力と援助を頂きました。
本研修会終了後に参加者へのアンケート調査し、皆様方からのご意見、ご批判を頂きましたので、その一部の紹介と研修会風景の写真の紹介をさせて頂きます。
なお、研修会実施プログラムにつきましては、研修会開催案内をご参照下さい。
アンケート結果の概要
1.実習、講義内容について
Q1.今後、実際に検査を実施していく上で有意義でしたか。また、その理由を聞かせてください。
1 非常に有意義であった | 33名/46名 |
2 有意義であった | 13名/46名 |
3 あまり有意義ではなかった | 0名/46名 |
上記1.に関連する理由に加え、皆様からは沢山の意見や感想を頂きましたので以下に代表的な意見、感想等を抜粋して紹介いたします。
1)実技実習及び説明・指導に対する意見等
- 今後導入予定の機器にも触れられ参考になった。また、研修会内容は、自社で今後導入する上で適切な内容であった。
- リアルタイムPCR法、LAMP法ともまったく知識がなかったが、実際の測定装置を見、検査の感じをつかめたのは良かった。新鮮な喜びを感じた。
- 検査手法(手技)だけでなくもう少し原理についても説明して欲しかった。
- リアルタイムPCR法も実際体験することにより検査の流れを頭に入れることが出きてすごくためになった。
- PCRやLAMPの操作手順、原理はもちろんですが、ピペットの使い方、検証方法などを具体的に知ることができた。また、操作の注意点、原理の解説が分かりやすく良かった。
- メーカーさんの説明もわかりやすく、実践的なので、有意義だった。
- 普段使用してないペトリフィルムやコンパクトドライ等が使用でき良かった。
2)実習へ参加しての感想等
- 最先端の技術を今すぐ導入することはできないが、近い将来我々の業務展開の中に組み込む可能性を自分なりに見つけられたような気がして、今後が楽しみになった。
- 自社でも、今後の検査にPCRを活かしたいと思う。
- PCRは、普段のルーチンでは行っていないが、これから重要かつ不可欠になると思われた。
- 初歩的な事項から、最新の動向まで幅広く学べた。
- 経験したことのない検査方法についての実技実習ができ、大変役立った。
- 会社内では通常得られない知識が沢山得られた。
3)講義内容についての感想等
- 日々の検査業務では意識しにくい微生物試験法の国際的な視野での動向の確認が欠かせないことが分かった。さらに理解を深めたい。
- 演者の説明、解説が大変すばらしく、分かりやすかった。引き込まれるような講義だった。もう少し時間を割いて欲しい。
- 実習前に関連の講義があり、実習が分かりやすかった。
- 講義全体の統一性があり、理解しやすかった。
- 国際的な基準作りのプロセス、通知法とのつながりが理解でき、我が国の対応と方向性等の話から、今後の検査において、PCR法習得の重要性を感じた。
- 自社ではまだ対応できていないことが多いが、新しい情報の収集ができた。
4)意見交換会やフリーディスカッションへ参加しての意見及び感想等
- 参加機関同士で、日頃の疑問点について意見交換や情報交換できたりしたことで視野を広げることができた。
- 自社が抱えている問題点や課題が、他機関でも、共通であり、各自、何らかの打開策を模索していることが分かり、大きな収穫だった。
- 参加各機関との連絡、相談できるつながりができ、今後の業務推進に役立つ。
- 普段お話しする機会のない専門家の先生方のお話が聞けたこと、大変有意義だった。
2.今後取り上げて欲しい実習内容について
- 細菌の分離・同定
- 標準法を用いての参加機関による技能試験
- 異物、異常品についての試験(クレームへの対応)
- 異なる検体種についての試料採取の仕方
- アレルギー試験について
- 基本的な微生物検査操作、検査室の管理について
- 新採用または配置転換等に対応した、基本的な検査操作や手順等について
- カビの同定(培養法、キット法、PCR法)
- 内部精度管理の具体的な仕方、生菌数測定用サンプル調整法、目標値の設定、評価法
- 遺伝子組み換え食品検査と検査操作(全行程)
- 食品からのDNA,RNAの抽出操作、PCR, 電気泳動法操作について
- 食中毒菌の解説、検査法、試料の処理操作(O-103,O-26,O-157、カンピロバクター等)
平成22年11月19日
食検協 事務局